昭和7年生れのある女性の話
 「そうよ。昔の埋葬いうたら、墓地の敷地が限られとるきん、古い方から古い方から使こうて穴を掘ってゆくんよ。ほじゃきん、前の人の骨が出てくることもあるよ。それでも講中の人は、拾い上げといて新しい棺桶を入れる時に丁寧に一緒に埋めるんよ。講中の人たちは、そんな仕事をしてくれるから、皆で充分にもてなすんよ。」「出里のじいちゃん時も(出里柞田町)骨は出てきたよ。穴掘る人は気の毒に思う。」「じゃから、昔の人は隣近所を大事にしよった。今の人たちみたいに好き勝手なことを言よったら、誰っちゃ相手にしてくれんようなるし、葬式も出せんようになる。」
 講中の人たちとは、自治会内の同じ組・班の世帯が勤めます。現在は、式場で告別式を行うことが多く、式場内での香典の受付、食事時のお茶出しなどに限られますが、土葬が残り自宅とか公民館で葬儀を執り行っていた時代は、葬儀一切を講中の人たちが勤めていました。現在の民間葬祭業者が行う仕事の全てです。