一般には、仏教は死体の穢れを嫌わない宗教と言われています。神道は、穢れを嫌う宗教で死という穢れを扱えないことから仏教が死に関する儀礼を担ったと言えます。イスラム教は、穢れへの対処法を細かく規定しており、神に祈る際の身の清め方とか豚肉を食べないという食物規定などが有名です。キリスト教は、穢れの感覚があまりなく食物規定も礼拝時の定めもありません。自ら清める力を持っていて穢れを恐れない宗教です。大くくり過ぎるかも知れませんが、穢れへの感覚はこのように分かれると思います。
然し、上段の両墓制は、死体の穢れを早くうち棄てる意識をもって「拝み墓」への霊の継承が行われます。この点は、仏教の本旨と矛盾していると思われますが、次項の「埋葬(土葬)文化の変遷」に理由が見いだされると思います。